かつらの脱毛

カツラの毛は人毛、人工毛いずれの場合でも1本1本ベースに結んであるが、結び目が黒い点として目立たないように化学的に色を抜く処理を施す。具体的には酸化剤を用いて色素を壊す作業を行う。
酸化剤は、色を抜くだけでなく毛の組織を破壊する働きを持つため、カツラの毛の結び目は髪の強度が落ちており、使用に伴って切れることがある。もともと脱色は極めて強い化学的な処置であり、人毛の成分がノーダメージというわけにはいかないのだ。その意味では、脱毛のリスクと、脱色のメリットを秤にかけてどちらを重要視するか、ユーザが決める必要がある。一般には、かつらを利用する初期には脱色を優先し、ある程度慣れてきたら寿命を優先するために脱色はなしにするか、弱い脱色とするケースが多いようである。

強度の落ちた髪は脱毛のリスクがあるが、これが顕在化するのはブラシが強く当たる前頭部であり、かつらの寿命を規定する主要因となる。対策としては、ブラシはゆっくりと当てる、ブラッシングを必要最小限に留める、などがある。
また、かつら用のブラシとして、髪への負担が少ないブラシが売られているが、当店ではその効果はあまり現れず、否定的な立場である。低負荷タイプのブラシとしては、すべりをよくするタイプ(これは有用性を感じる)、マグネットをつけたタイプ、ピンを細くしたタイプ、携帯のバイブレーション機能で使われるモータを内蔵した振動タイプなどがあるようだ。

また、特に寿命を優先するカツラの場合、最初から脱色を行わないという指定を行うと、この問題は起きなくなる。
髪の根本の脱色は実際にはそれほど重要なわけではなく、できれば脱色をしない方が、かつらの寿命にとっては有利である。

毛染め剤

毛を染めるために使用する薬剤。
カツラに天然毛髪(人毛)を使用している場合、ドラッグストアで売られているような市販の毛染め剤を使う。

カツラ専用の毛染め剤もあるが一般では入手困難である。貼るタイプのカツラは何年も使用するわけではないので、薬局で売っている市販品で十分だ。

ほとんどの製品は二液タイプで、使用する直前に混合する。染料で染めるのではなく、髪と反応して色を出す。
一液タイプは短期間のみ染めるタイプが多いので、かつらには適さない。

特殊な毛染め剤として、
ヘナと呼ばれる天然由来の毛染め剤もある。
これは毛染め剤として働くが、同時に髪を修復する働きが強いため、劣化したカツラの髪に効果がある。
購入の際は、100%ヘナが望ましい。ただし、ちょっと扱いは面倒だ。

毛染め剤を使用する場合、濃い方向へ染めることはできるが、明るい方向に染めることはできないという点、注意が必要だ。
脱色剤を使ってもうまく色を抜くことはできないので、明るい方法へは修正できない。
また、元の髪の持っている性質によって、まれにムラができることがある。
染めにチャレンジする時は、予備品のカツラを用意して、万が一失敗しても対応できる状況にしておく必要がある。

毛を染める

人毛から作られたカツラは、染色剤で染めることができる。レミーヘア、バルクヘアーなども同じだ。
ただし、色が濃い方向へ染めることは可能だが、薄い方向へは染めることはできない。
毛を濃い方向に染めるときは、市販の「黒髪戻し」などの商品名で売られている毛染め剤を利用する。
ただし、薬液に浸す時間は説明書と異なる場合がある。説明書では、未加工の人毛を想定しているため、加工した人毛では染めるスピードが変わるのだ。
そこで、一気に最後まで染めずに、途中で髪の一部を拭き取り、染まり具合を確認する必要がある。
この時、蛍光灯など人工照明下だと、違った色に見えることがあるので、バレないかつらに仕上げるためにも、日中、自然光の下で確認したい。

カツラの髪は、洗浄を繰り返すとだんだん色が薄くなることがある。
日頃、着色剤入りのシャンプーやコンディショナーを使用することで、予防することができる。
もっとも、こうした染めるタイプのコンディショナーを使わなくても、貼るタイプのカツラの場合はその寿命を考えると、1回染色する必要があるかどうか、というくらいである。

白髪は人工毛髪でできているので、いっしょに染まってしまうという心配はない。
染色剤は、髪の成分に反応して色を変えるため、天然毛髪(人毛)以外の部分は染まることはないのだ。
同じ理由で、レースや縁が染まるという心配はいらない。

一方、爪は髪と成分が似ているため、手袋なしで染めようとすると、爪まで黒くなる。注意が必要だ。

髪の根元の脱色

かつらの髪は、土台とでも言うべき「ベース」に結びつける。このとき、ベース上には必ず結び目ができる。
結び目は髪が丸い輪となるため、黒い点として見えることがある。

近くで見なければわからないとはいえ、やはり気になるということで、少しでも結び目が目立たないようにする
加工をする。
これが、結び目の脱色するだ。結び目があっても色が薄ければ見えにくい。
これによりバレないかつらとして完成に近づく。

脱色は、髪を植える工程を終えたカツラに対し、結び目を薬品に浸す。そうして髪の色素を抜くことで色を薄くしている。
この作業では、カツラ製造工場によって脱色の強さに差が生じる。
しかし、脱色がよいほど、よいカツラか、というと必ずしもそうではない。
実は、髪を染める色素にはいろいろなタイプがある。耐久性を重視したものと、そうでないものがあるのだ。
耐久性に優れる染色剤は、脱色も効きにくい。
こうした染色剤に対しては、市販の脱色剤を用いた脱色ではあまり効果がない。
優れた脱色を行う工場は、もともと耐久性の低い染色剤を使っている可能性が高いのだ。
この場合、使用に従って髪の色が早く落ち、染め直しが必要になる。染め直しを行うと、根本の結び目まで染まってしまうので(結び目だけ髪染め剤をつけないのはとても難しい)、結局ぼつぼつが目立つ。

この脱色過程では、色素だけでなく、髪そのものにもダメージが及ぶため、このような問題が生じる。
脱色を強くすると髪の結び目が切れやすくなり、すぐにかつらがスカスカになって寿命が短いという問題があるのだ。

このため、脱色は適度な強さにとどめており、強い脱色はお勧めしない。