つむじ専用のかつら

男性型脱毛では、生え際の後退と、つむじ周りの脱毛が同時に起きることが多い。
しかし、薄毛の進行具合は人まちまちであり、人によっては生え際(前頭部)は元気でもつむじだけが薄くなるケースがある。そんな時に使用するのが、つむじ用カツラである。
つまり、フロントは自毛を活かし、頭頂部だけを隠すタイプのカツラである。

つむじ用のカツラは、フロント生え際までカバーするカツラ(一般的な部分カツラ)より
運用上都合のよいことがある。

・装着が少々いい加減でも、まずバレる心配はない。つむじは生え際よりも目立ちにくいのだ。
・このため、全周囲縁ありや全面縁(メッシュ部分がなく、すべての部分が縁素材でできている)タイプが問題なく使用できる。こうしたタイプは、本来、自然さより扱いやすさや寿命を優先する目的で使われ、テープで装着できて扱いが楽な上に、長持ちする。めんどうな接着剤を使う必要がない。

カツラは、フロント生え際が一番大事で、この部分に一番気を遣う。それがないつむじ用カツラというのは、何かと扱いがラクなのである。もしフロント生え際が元気なら、つむじだけをカバーする一択である。

つむじ

自分のつむじをカバーするカツラの場合、必ずかつらの側にも「つむじ」を1箇所設定する必要がある。

つむじとは、髪の流れが変わる点のことで、髪を四方八方に流す起点となる。
原則として、つむじの位置は製作時に決まり、いったん出来上がればドライヤーなどを使ってもつむじ位置を変えることはできない。
間違えやすいが、分け目位置は自由に変えることができるのに対して、つむじ位置は固定となるので注意が必要だ。

つむじをなしで作ることもできるが、その場合は、髪を四方八方に流す起点がないわけであり、当然、髪を一方向(通常は前方向)に流すことになる。

フロント用のカツラでは、つむじを付けず、すべて前に流すタイプが普通だ。
また、特殊なものとしては傷跡を隠すためのカツラとしても、つむじなしが使われる。この場合は、その場所にあった方向に髪を流す。

いずれにしても、『自分のつむじをカバーする場合は、カツラにもつむじあり』、『自分のつむじをカバーしないなら、カツラもつむじなし』、と考えれば間違いない。
もし、つむじをカバーするカツラなのにつむじなしで製作してしまうと、カツラの髪はすべて一方向へ向いているわけだから、自毛との境界に困る。つまり、カツラの髪の上流側の端部では、カツラの髪もないし、自毛もない、という状態になってしまう。逆に、フロント用に対してつむじを作ると、前頭部につむじが生じて奇妙なことになる。

なお、つむじには人工皮膚を入れるわけではないため、レースが見えることになる。
レースは薄いため、一般に、レースが肌に密着していれば見えにくいが、それでもつむじ部分でレースが見えるのを気にする方もいる。
こうした場合、つむじだけ髪量を多くするよう指定した方がよいだろう。

髪素材 チャイニーズレミー

チャイニーズレミーとは、カツラに使う毛髪素材の名称である。
レミーヘアーとは、人の毛髪を採取した後、キューティクルをできるだけ剥がさずに元の素材を活かしたタイプの髪素材を意味する。自然な反面、元の髪の性質が強く現れる。主に女性用かつら用の髪素材として流通しているため細い髪がほとんどで太い髪は手に入りにくい。これはチャイニーズレミーの髪素材を提供するのはほとんどが女性であるためだ。対照的に、インディアンレミーでは男性からの供給があり、太い髪も手に入りやすい。

チャイニーズレミーは、インディアンレミーより日本人の髪の感じに近い。
このため、日本で販売されているかつらは、レミーの場合チャイニーズレミーが使われることが多い。

レミーの特長として、風合いが髪に近く、自然なスタイルが作りやすいという点が挙げられる。
このため、標準ですべての髪をレミーとしているカツラメーカーもある。
また、結び目の脱色がしやすいという特長がある。これもレミーが有利な理由の1つである。
一方で、髪の性質が安定しないという欠点があり、しばしば、前回のかつらと髪質が違う、という指摘となる。

髪の根元の脱色

かつらの髪は、土台とでも言うべき「ベース」に結びつける。このとき、ベース上には必ず結び目ができる。
結び目は髪が丸い輪となるため、黒い点として見えることがある。

近くで見なければわからないとはいえ、やはり気になるということで、少しでも結び目が目立たないようにする
加工をする。
これが、結び目の脱色するだ。結び目があっても色が薄ければ見えにくい。
これによりバレないかつらとして完成に近づく。

脱色は、髪を植える工程を終えたカツラに対し、結び目を薬品に浸す。そうして髪の色素を抜くことで色を薄くしている。
この作業では、カツラ製造工場によって脱色の強さに差が生じる。
しかし、脱色がよいほど、よいカツラか、というと必ずしもそうではない。
実は、髪を染める色素にはいろいろなタイプがある。耐久性を重視したものと、そうでないものがあるのだ。
耐久性に優れる染色剤は、脱色も効きにくい。
こうした染色剤に対しては、市販の脱色剤を用いた脱色ではあまり効果がない。
優れた脱色を行う工場は、もともと耐久性の低い染色剤を使っている可能性が高いのだ。
この場合、使用に従って髪の色が早く落ち、染め直しが必要になる。染め直しを行うと、根本の結び目まで染まってしまうので(結び目だけ髪染め剤をつけないのはとても難しい)、結局ぼつぼつが目立つ。

この脱色過程では、色素だけでなく、髪そのものにもダメージが及ぶため、このような問題が生じる。
脱色を強くすると髪の結び目が切れやすくなり、すぐにかつらがスカスカになって寿命が短いという問題があるのだ。

このため、脱色は適度な強さにとどめており、強い脱色はお勧めしない。

かつらベース

カツラの構成要素は2つある。それは、1つは髪、もう一つは、髪を結わえ付ける「土台」である。
本項目では、この土台、つまりベースについて解説する。

いわゆる「増毛」、すなわち、髪素材(髪単体)を購入しそれを自分の毛に結びつけるのは例外であるが、
それ以外の手法を使おうとすると、必ずベース(土台)が必要になる。
ベースなしに髪を固定することができないためだ。
ベースは様々なものがある。代表的なものは、次のとおりである。

・糸状
造りが簡単なため昔から用いられており、かつらというより増毛の一種と考えた方が近い。釣り糸、テグスのような透明な糸に、髪を結んだものである。この透明な糸の両端を、自毛に結びつけたり接着剤で接着する。そうすると、その間の線空間に髪が装着される、という手法である。この手法では、透明な糸がベースになる。
広い面積をカバーする必要があれば、この糸状の素材を並行に何本も貼っていく。
施工に手間がかかるが、素材としては糸を貼る感覚を調整することでかなり広範囲の毛量に対応できる。
その意味では中小のかつらサロンに向いたアイテムである。

・網状
カツラ用に広く使用される素材。かつらと言えばこのタイプを指すことが多い。
数ミリから1cm程度の目の粗さの黒い網を、頭の形状に合わせて半球上に整形する。
この網に髪を結わえ付けるのである。
網がベースとなる。
網が黒いのは、髪が透けて見えた時にベースが見えないよう、髪の一部に見えるようにするためである。
これはバレないかつらとして重要だ。

・メッシュ状のもの
上述の網タイプのベースに対し、厚みを薄くして、また肌色(まれに黒色も使用される)のメッシュ状にしたものが、
貼るタイプのカツラである。メッシュは数ミリ以下の目であり、網タイプに比べて非常に細かい。
また、繊維も太さもかなり細く、見えにくさに優れる。

・特殊形状
網状でありながら、編み目を極端に粗くしたタイプもある。
これは、自毛が少しだけ減った状態で使用される。したがって、自毛がかなり少なくなった状態では不適合である。
また、ベースを見せないために、相当多い髪量まで増やすことになる。
女性の場合、高齢でも多い髪が不自然ではないため、よくこうした形状が使われる。
男性の場合は、年に見合うよう髪量を減らした方が自然なので、このタイプはあまり使われない。

かつらに使う髪素材

カツラの髪としては、ヒトから採取した髪である「人毛」あるいは「天然毛髪」と、人工的に作り出した髪である「人工毛髪」がある。

人工毛髪とは、ヒトの毛髪に似せて作られた化学繊維でできた髪で、大量生産されている。
人形や、カットの練習用に美容師・理容師が使う安価なものもあれば、できるだけ人毛に似せた高級品もある。
天然毛髪より耐久性に優れるが、自然さは劣る。

特に、直射日光があたる屋外や、強いスポット照明のある場所では自毛との境界で色が違って見えることがあり、注意を要する。また、人工毛髪は熱や摩擦に弱いため取り扱いには注意が必要だ。
例えば、カツラを装着して寝る際に、激しく頭を枕にこするクセがあると髪が劣化することがある。
人工毛髪のかつらは、長耐久であることから1年以上使うことを前提にしていることが多く、したがって摩擦によるダメージは損傷範囲が広く問題になる。

もともと、日本の大手のカツラメーカーでは、安定して大量の髪を手に入れる必要があったため、
同一品質のものが簡単に製造できる人工毛髪を開発したという経緯がある。
その甲斐あって、大手の作る人工毛髪はとても精巧にできている。
一方で、こうした高級人工毛髪はオプション扱いになっていることがあり、気をつける必要がある。まずは安い製品の価格を提示して安心させた上で、安い製品と高価な製品を手に取らせて違いをアピールし、結局高価な製品を契約させる、ということが普通に行われているのだ。
カツラサロンでカツラを購入する際は、自然な人工毛髪は標準価格に含まれているのか、それともオプションで別料金なのか最初に確認するべきである。
悪質なかつらサロンでは、価格表を見せず、言い値となる場合がある。客の懐具合で金額がかわるのだ。価格表を見せないサロンは要注意だ。

スイスレース

スイスレースは、カツラのベース(土台)に使用されるレース素材の一種である。
スイスという名前が付いているが、スイスで生産されているとか、発明された、とかいうわけではなく、単なる商品名である。

レースは厚みによって、薄い方ものから順に「スイスレース」「フレンチレース」「モノレース」の3種類がある。
厚いほうが耐久性があり、またある程度の固さ(曲がりにくさ)があるため、使い勝手がよい。
一方で、貼るかつらでは、髪だけが見えて髪が結び付けられている土台は見えない、という状態が望ましい。
このため、薄い方が自然に見え、バレないかつらとなる。

スイスレースは最も薄いレース素材であり、自然さを優先するカツラに使用する。
反面、耐久性は劣る。

こうした特性から、初心者よりは上級者向け、常用よりはここ一番のピンポイントでの使用向け、という位置づけになる。
一般には2ヶ月程度で寿命になり、更新が必要となる。

フロント用の小さなカツラでは、地肌が見えやすいのでスイスレースを利用した方がよい。
こうしたケースでスイスレースの特長である、薄くて見えにくいというメリットが重要となる。

スイスレースは耐久性に劣るが、丁寧に使えば寿命は伸びる。まず、無理に剥がさないことが重要である。リムーバーを使って接着剤を弱めてから剥がさないと、たちまち破れてしまう。

こうした点に注意して、丁寧に扱えば、かつらとしては最高のパフォーマンスを引き出すことができる。

髪のカールとストレート

カツラの髪についている、「巻き」のこと。ウェーブとも言う。
ヒトは、もともと髪の断面は楕円である。この楕円が円に近いほどストレートになるのだが、多かれ少なかれ楕円になっているため、必ず巻きが入る。
この巻きの強さ、つまり楕円のきつさは人種によって差があり、黒人は楕円がきつく、アジア系黄色人種は真円に近い。このため、我々日本人は比較的ストレートヘアが多い。
それでも、人の髪はほとんどの場合、多かれ少なかれ巻きがついており、まったくのストレートは珍しい。
シャンプーのCMなどで人形のような完璧なストレートヘアが演出されることがあるが、これは人工的な処置(ストレートパーマなど)によってストレートに加工しているケースが多い。

最初のカツラ注文の際は「自然なストレート」がよいだろう。これは自然なカールが少々残る、日本人に多い髪の感覚である。まずは「自然なストレート」で様子を見て、それから「軽めのウェーブ」か「できるだけストレート」に進むと失敗が少なくて済む。なお、当店の受注は9割近くが「自然なストレート」のカツラである。

天然毛髪やレミーヘアでは、ストレートを指定しても多少の巻きがついている。
しかし、この巻きは人の髪としては自然に見える。むしろまったく完璧なストレートはまるで日本人形のような違和感、つまり自然にはありえない感覚があって、カツラには不向きである。

かつらの髪色とは

かつらの髪の色について説明します。
オーダーメードでは髪量や形などさまざまな仕様を決めて注文するわけですが、
その中でも髪の色は重要です。

髪の色をどうやって指定するかというと、もっとも一般的なのは髪サンプルを使う、
つまり自毛を切ってその色に合わせる、という手法ですが、何らかの理由で自毛が採れないとき、
色コードで指定することもできます。

もっとも真っ黒な髪が#1。
そこから明るくなるにつれて、#1B, #2, #3 ,…と数字が大きくなります。
#1Bのように添え字としてアルファベットが付くこともあります。

ただし、この色コードは、多くのカツラ店で使用されていながら、規格が決まっているわけではありません。
特に明るい色(茶髪)では、カツラメーカーによって色合いが異なりますので、色コードによる指定は、当店では#1と#1Bに限っています。

日本人では#1、つまり真っ黒、漆黒の髪が好まれますが、それより明るい#1Bも広く用いられています。
#2以上は、生粋の日本人の髪ではあまり見られず、染めた人向けになります。

かつらの素材として真っ黒な髪が好まれると言っても、実は、黒々とした髪は、カツラっぽく見える原因の一つです。
もし、髪色がちょっとでも明るいなら、#1Bがお勧めです。
屋外に長くいる人なら、紫外線のため頭頂部の髪の色が少し抜けて明るい色になっているのは、ふつうにあります。
したがって、頭頂部のカツラ部分の色が僅かに薄いのは、ありなのです。
逆に頭頂部だけ色が黒いのはアウト、自然では見られない状態です。あるとすれば、脱色した毛が伸びて自毛の色がでてくる、
いわゆるプリンの状態ですが、これを模擬するというのもちょっと奇妙に感じます。

真っ黒はいやだがなお、それでも明るい色に抵抗があるのであれば、#1と#1Bを半分ずつ混ぜる、という指定も可能です。

もし、#1Bでオーダーして、実際にはもっと黒い髪が欲しかった場合、市販の毛染め剤で、カツラを染めて色を濃くすることもできる。
しかし、#1でオーダーすると、髪の色を薄くすることはできないため、色は変えられないことになる。
その点では、1回めの注文では明るい色の方が対処が可能な分、適している。