かつらの脱毛

カツラの毛は人毛、人工毛いずれの場合でも1本1本ベースに結んであるが、結び目が黒い点として目立たないように化学的に色を抜く処理を施す。具体的には酸化剤を用いて色素を壊す作業を行う。
酸化剤は、色を抜くだけでなく毛の組織を破壊する働きを持つため、カツラの毛の結び目は髪の強度が落ちており、使用に伴って切れることがある。もともと脱色は極めて強い化学的な処置であり、人毛の成分がノーダメージというわけにはいかないのだ。その意味では、脱毛のリスクと、脱色のメリットを秤にかけてどちらを重要視するか、ユーザが決める必要がある。一般には、かつらを利用する初期には脱色を優先し、ある程度慣れてきたら寿命を優先するために脱色はなしにするか、弱い脱色とするケースが多いようである。

強度の落ちた髪は脱毛のリスクがあるが、これが顕在化するのはブラシが強く当たる前頭部であり、かつらの寿命を規定する主要因となる。対策としては、ブラシはゆっくりと当てる、ブラッシングを必要最小限に留める、などがある。
また、かつら用のブラシとして、髪への負担が少ないブラシが売られているが、当店ではその効果はあまり現れず、否定的な立場である。低負荷タイプのブラシとしては、すべりをよくするタイプ(これは有用性を感じる)、マグネットをつけたタイプ、ピンを細くしたタイプ、携帯のバイブレーション機能で使われるモータを内蔵した振動タイプなどがあるようだ。

また、特に寿命を優先するカツラの場合、最初から脱色を行わないという指定を行うと、この問題は起きなくなる。
髪の根本の脱色は実際にはそれほど重要なわけではなく、できれば脱色をしない方が、かつらの寿命にとっては有利である。

ドライヤー

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カツラを装着したままシャンプーした時は、自然乾燥させずにドライヤーで早く乾かす必要がある。
自然乾燥だと乾くまで時間がかかり、接着剤が拡散する原因となったり、
長時間濡れた状態にすると雑菌が繁殖するためである。

ドライヤーで温風を使用する場合、ドライヤーを持っている腕をいっぱいに延ばしてできるだけ遠方から風を当てるようにする。
こうすると、温度が高すぎて髪が傷んだり、人工毛髪(白髪)部分がチリチリになることを防ぐことができる。
それでも、大出力の熱風を同じ場所に当て続けると、特に人工毛髪は傷みやすいので、温度調整をするなど気を遣う必要はある。人工毛髪は種類によって耐熱性が大きく異る。あるかつらで大丈夫だからといって、他の種類のかつらで同じことをしても大丈夫とは限らない。

マイナスイオンドライヤーは、毛の絡みを防ぐ働きがあり、カツラに適する。
静電気を抑える働きがあるため、特に静電気が発生しやすい冬季には大きな効果が期待できる。
いろいろな家電メーカーから発売されているが、当店ではパナソニック製のマイナスイオンドライヤーをお勧めしている。
最新モデルでは1万円以上する高価なものだが、旧モデルならしばしば安売りしているので、ねらい目である。

消耗品について

貼るタイプのカツラは、いくつかの消耗品が必要だ。代表的な消耗品は次のとおりである。

【カツラ洗浄】

  • シャンプー
  • コンディショナー

【カツラ着脱】

  • 接着剤またはテープ
  • リムーバー

【その他(必要に応じて)】

  • カツラ台
  • 毛染め剤

シャンプーやコンディショナーは、必ずしもカツラ専用のものである必要はない。
薬局などで売られている一般的な市販品で十分だ。
カツラを使っているからと言っても、通常のシャンプー費用と変わらない。1本数百円~千円程度のもので問題ない。

テープ類は通常、月に千円くらい、毎日着脱しても数千円というところだ。

毛染め剤も1箱千円くらいである。男性の髪型なら1箱で2~3回使えるから、1回あたりはさらに安くなる。
こうして考えると、セルフメンテナンスのカツラの費用はほとんどが本体費用であり、
消耗品の費用はそれほど大きくないことがわかる。

コンディショナー

カツラをシャンプーして洗ったら、必ずリンスあるいはコンディショナーで仕上げる必要がある。
そのままにすると、髪がごわついて絡みが発生してしまう。バレないかつらとするためにも、手入れは大切だ。
コンディショナーには洗い流すタイプと洗い流さないタイプがあるが、カツラを装着したまま洗う際は前者をお薦めする。
カツラを外して洗う場合は、どちらでもよいが、洗い流さない方が効果があるのでお勧めだ。
男性の場合、洗い流さないコンディショナーは馴染みがないと思うが、女性用では広く使われている。
最初は、洗い流さないというのは違和感があると思うが、すぐに慣れる。

コンディショナーはさまざまなタイプがあるが、ダメージヘア用のものが髪表面の傷(からみの原因)を修復し、効果的である。毛の表面に膜を作り、すべりをよくする働きがある。毛のダメージとは表面が荒れることなので、こうした修復作用は有効だ。

かつら専用品も発売されているが、一般用でも問題ない。

カツラの髪が傷んできたときにはヘアパックを使うとよい。
コンディショナーに比べてより保修効果が高い。
ただし、毛絡みが発生してからではあまり効果がなく、その前に予防的に使うのがお勧めである。
ヘアパックは大手薬局などで手に入る。

毛を染める

人毛から作られたカツラは、染色剤で染めることができる。レミーヘア、バルクヘアーなども同じだ。
ただし、色が濃い方向へ染めることは可能だが、薄い方向へは染めることはできない。
毛を濃い方向に染めるときは、市販の「黒髪戻し」などの商品名で売られている毛染め剤を利用する。
ただし、薬液に浸す時間は説明書と異なる場合がある。説明書では、未加工の人毛を想定しているため、加工した人毛では染めるスピードが変わるのだ。
そこで、一気に最後まで染めずに、途中で髪の一部を拭き取り、染まり具合を確認する必要がある。
この時、蛍光灯など人工照明下だと、違った色に見えることがあるので、バレないかつらに仕上げるためにも、日中、自然光の下で確認したい。

カツラの髪は、洗浄を繰り返すとだんだん色が薄くなることがある。
日頃、着色剤入りのシャンプーやコンディショナーを使用することで、予防することができる。
もっとも、こうした染めるタイプのコンディショナーを使わなくても、貼るタイプのカツラの場合はその寿命を考えると、1回染色する必要があるかどうか、というくらいである。

白髪は人工毛髪でできているので、いっしょに染まってしまうという心配はない。
染色剤は、髪の成分に反応して色を変えるため、天然毛髪(人毛)以外の部分は染まることはないのだ。
同じ理由で、レースや縁が染まるという心配はいらない。

一方、爪は髪と成分が似ているため、手袋なしで染めようとすると、爪まで黒くなる。注意が必要だ。

かつらのブラッシング

自毛の場合、ブラッシングは髪型を整えるだけでなく、皮脂を髪全体に行き渡らせる、血行を良くするというメリットがあります。そこで、ある程度ブラッシングは必要ですし、実際に皆様はそのようにしています。

しかし、カツラの場合、ブラッシングは最小限にする必要があります。
つまり、髪型を整える以外の目的でブラッシングする意味はありません。
それどころか、髪に負担をかけるため、過度のブラッシングは寿命を短くする元になります。

カツラにブラシを当てるときは、ゆっくり、ゆっくりと当ててください。
自毛のときのようにスピードを速めて当てるとカツラの負担になります。
特に、髪に引っかかったとき、力任せにブラシを進めなると、大きなダメージになることがあります。

カツラに使用する場合、あまり目の細かいブラシはよくありません。
目の細かいブラシは抵抗が大きく、かつらの髪とレースに大きな負荷をかけるからです。
毛の表面を荒らさないように保つことが、バレないかつらの第一歩です。
抵抗を減らすため、毛先を振動させるブラシもお勧めです。
一方で、磁石つきなど怪しげなブラシも市販されていますが、これは効果はありません。
特に高価なブラシは必要ありませんので、毛の粗いブラシをお求めください。
また、毛にスプレーをかけて通りを良くするのもお勧めです。

かつら用の接着剤

かつらを装着する時には、従来型のかつらではピン、つまり髪を挟み込む金具が使われた。
これに対して、貼るタイプのカツラの装着時は、テープまたは接着剤、場合によってはその両方が使われる。
このうち、接着剤は、かつらの縁がない部分、つまりレース部分を頭皮に貼るのに使用する。
使用時には、カツラ(レース)側ではなく、頭皮側に塗るらなくてはならない。
カツラ側に塗る方法もないわけではないが、べとつきが髪に広がりやすいという問題が生じる。
したがって、ほとんどの場合は頭皮側に塗り、そこにレースを貼り付ける、という使用手順となる。

接着剤は、テープと比較して自然だが、髪がべとついたり、使用後の除去が面倒という欠点がある。
屋外で過ごす時間が長いときなど直射日光を浴びるときは、テープだと反射が気になる場合があり、
接着剤がお勧めである。バレないかつらとしては接着剤の方が有利なのだ。
ただし、これはかなり特殊な状況であり、特に室内の仕事に従事している人であれば、反射にそこまで気を遣う必要はないだろう。

よくある質問は「化学物質である接着剤を、直接肌に塗っても健康に被害はないのか」というものである。
もともと人体用に製造されており、一般的な肌の人であれば長期にわたって使用しても問題ない。
歴史もあり、世界中で広く用いられているわけだからまず心配はいらない。
ただし、アレルギー体質や肌が弱い人などは、事前に接着剤の販売者に相談した方がよい。
海外から安価に個人輸入することもできるが、最初の1本目は相談しやすいということで国内販売業者から購入したほうがよいだろう。

なお、既存タイプ(ピン留めや編み込み式など)のカツラ業者は、接着剤に対する生理的嫌悪感をあおって自社製品の優位性をアピールすることがあるが、一つの販売戦略である。内容を良く読んで判断して欲しい。

接着剤で問題になるのは、メンテナンスである。
べとつきを除去する際にはリムーバーを使って取り除くのだが、それなりに時間と手間がかかる。この点はテープの方が有利である。
レースの部分であれば、接着剤でもテープでも留めることができるので、両方を経験してからどちらでいくのかを決めるとよい。
普段はテープで、特別なときは接着剤で、という使い分けも可能だ。