ヘアリプレースメント

かつらバックナンバーVol.32

32.ヘアリプレースメント

かつら業界でも、ヘアリプレースメントという言葉をしばしば聞くようになりました。
今回は、ヘアリプレースメントと従来型かつらの違いについて説明します。

一般にかつらと言えば、かぶるタイプのものを指します。
厚くて丈夫なベースが特徴で、自立できるほど強度があり、机の上に置いてもそのままの形を保ちます。
それに対し、ヘアリプレースメント(hair replacement)とは、その言葉通り、 髪の毛(hair)を置き換える(replacement)ものを指します。 従来のかつらに比べ、とても薄くできており、 ヘアリプレースメントを机の上に置くと、自立できず、へにゃっと曲がります。 この薄さと柔軟性のおかげで頭皮に密着させることができ、まるで自毛のように扱えるのです。

ヘアリプレースメントは映画や演劇の分野で十数年以上前から使用されていましたが、 当時は作るのに手間がかかり、運用も面倒なことから、特殊用途に限られてきました。 しかし、2000年以降、生産方法が確立して安く作れるようになったことから アメリカでは一般へ普及し、 欠点の多い従来型かつらに代わってヘアリプレースメントが広く使われるようになってきました。 日本でも大手かつらメーカーが2005年頃から大々的に販売を開始し、 広く知られるようになってきました。 腕から毛が生えたようなインパクトのあるCM映像をご記憶の方も多いでしょう。

ヘアリプレースメントは、毛の植えてあるベースが薄くてほとんど見えないので、 ほんとうに毛が生えているように見えるのです。

ヘアリプレースメントの長所と短所は次のとおりです。

【長所】

○ずれない動かない
ヘアリプレースメントは頭皮に密着するため、従来のかつらのように、ずれたり動いたりすることはありません。
従来のかつらは、自毛に留める方法が広く採用されており、ひっぱればすぐに動きました。
無意識に髪に軽く手をやっただけで頭全体が動き、かつらだとばれたという方もいらっしゃいます。
ヘアリプレースメントでは、頭に何かが触れないか、びくびくする必要はありません。
○自毛と同じ位置から生える髪
従来のかつらは厚みがあり、また自毛の上に取り付けるため、常に浮いた感じがありました。 5ミリから1cm以上も自毛より離れた場所からかつらの髪が生えていたのです。 従来のようにかぶるかつらと違い、ヘアリプレースメントのベース(土台)厚みは数百ミクロン。 つまり、自毛と数百ミクロンしか違わない場所から髪が生えるのです。 これならヘアリプレースメントの髪が生える位置は、自毛と変わりません。
○少ない毛量でもOK
従来のかつらは、毛を多くしてベースを隠すのが前提でした。 かつら部分はとてもふさふさになっていたのです。 20歳前後ならこれでもよいのですが、ある程度年齢が上がってくると、 そのふさふさ感は実に不自然です。
これに対し、ヘアリプレースメントなら少ない毛量でも自由自在。 ヘアリプレースメント用のベースは極薄の肌色素材でできており、肌に密着すればほとんど見えなくなります。ベースが見えてもよいので、少ない毛量でも平気なのです。

【短所】

×耐久性
極薄のヘアリプレースメントは、頑丈な従来型かつらに比べて耐久性は劣ります。 従来型のかつらでは、修理をしながら2〜3年程度使っていたのに対し、 ヘアリプレースメントの寿命は半年以下、通常は3〜4ヶ月です。
これは、耐久性と自然さは相反する関係にあるため、なんともならない制約なのです。 その代わり、ヘアリプレースメントは1つあたりは安価で、トータルコストでは大差がないように なっています。
×着脱が必要
従来型かつらでは、ピンで留めるタイプのかつらなら、数十秒で着脱できました。 ヘアリプレースメントは、自毛を剃ったところに、専用の接着剤や両面テープで取り付けます。 このため、着脱には5分くらいはかかるのが普通です。 なお、ヘアリプレースメントは毎日着脱してもよいですが、多くの場合、数日から1週間ほど 装着したままにします。シャンプーも装着したままで行います。

このように長所も短所もあるヘアリプレースメントですが、自然さを優先するのであれば、ヘアリプレースメントを選択することになります。

当店では、従来型かつらも、ヘアリプレースメントも取り扱っていますが、現在では 99%がヘアリプレースメントになっています。 多くのかつらサロンでもヘアリプレースメントが占める割合は上がっています。 将来は、大半のかつらが、ヘアリプレースメントにとって代わられると予想されています。

ヘアリプレースメントではなく、従来型かつらを選ぶ 装着のために剃る必要があることです。禿への恐怖心から、これはハードルが高く感じられるかもしれません。 たとえば、すべての自毛を活かしたい場合、時々しか装着しない場合には、 残念ながらヘアリプレースメントは適しません。

こうした特性を考慮し、ベストな方法を模索ください。 当店でも、ご相談に応じてもっともふさわしい方法を提案させて頂きます。