かつらの広告

かつらバックナンバーVol.17

17.かつら広告を出さないワケ2

高価なキーワード連動広告で、消費者が負担する広告費はいくらになると思いますか?
ホームページを訪問したお客さまのうち、購入に結びつくのは業種、商品を問わず平均1%前後とされています。
つまり、100人の方が広告をクリックすれば、そのうちの1名様が商品の購入まで至る、という率です。 前回「かつらの広告を出さないワケ1」で述べたようにクリック単価は千円ですから、かけ算すると、十万円かかると判ります。

お客さま1人を獲得するのに、10万円!

大手のサロンでは、かつらは1個50万円前後の値段を付けて売られています。
そこから見れば、10万円くらいの広告費を支払っても元は十分とれるのでしょう。 何しろ、かつらは1個売ったら終わりではありません。スペア、メンテナンスやヘアカット、そして育毛セットなど 顧客単価は数百万円にもなるのです。「禿は金のなる木」とのたまった店長を知っています。

大手は、カツラを販売価格の2割以下の値段で仕入れていると言われています。残りは、儲けと経費です。
この経費のうち、かなりの割合を広告費が占めています。
世の中に出回っている工業製品の中で、販売価格のうち製造原価が1〜2割という商品はあまり多くはないでしょう。 かつらの製造原価は、上場している大手メーカーは決算書として開示していますので、一度ご覧になってみてください。 各社のホームページでダウンロードできます。
たとえば、アデランス社であれば、トップページから「株主・投資家情報」「財務情報」と進むと決算書があります。また、「IR資料室」から財務データ集がダウンロードできます。
アートネイチャー社では、トップページから「投資家情報」「IRライブラリ」と辿っていけば、決算書があります。
(URLは変わる可能性があるので、トップページだけリンクを張ってあります)
上場企業はこのように財務情報はセグメント別の決算を公開している場合もあり、なかなか参考になります。 我々のような非上場の会社と違い、上場会社はライバル店を利するかもしれないきわどいデータまで公開していますので、大変ありがたいです。 至近5年ほどのかつらのジャンル別売上げを見ると、かなり貴重な将来予測の情報となりますので、一度見られておくとよいでしょう。

ちょっと脱線しました。
話を元に戻して、と。
お客さまの手に渡る商品価値が販売価格の1〜2割。本当にこれが正しい商売の姿か、いつも疑問に思います。 販売価格から、仕入れ(かつらの卸価格)を引いた金額の割合を、粗利と呼びます。 粗利は、だいたい業界ごとに決まっていて、そこから外れる価格を設定すると、何かと問題が起きて長続きしないことが多いです。 つまり、高すぎる粗利を設定すれば価格競争上不利になるので、市場の狭い高級志向とせざるを得ませんし、低い粗利では価格競争に巻き込まれることになります。こうして、だいたい似たような粗利に落ち着くのです。さらに、昔は、業界の中で商売のスタイルがほぼ一律に決まっており、また、業界団体が強い力をもっていてその意に反する商売は難しいという問題がありました。 それに対し、今はインターネット販売はあるは、外資系の新しいビジネスモデルはあるは、薄利多売に特化したり、逆にプレミアムを付けて高額少量とか他品種少量販売にするなど、様々なバリエーションが可能になりました。

当店も、そうした流れの一環です。
すなわち、一昔前は大手の巨大資本による、大量宣伝による囲い込み、中小では客数が稼げずに稼働率の点から大手にかなわない、という寡占状態にあったわけですが、小さなお店がインターネットを武器に、セルフメンテナンス特化、というスタイルが可能になったのです。
これは驚くほどすごい変化です。
小売りでは様々な業界で同じような変化が起きていますが、懇切丁寧なサービスをセットにしていたカツラ業界で同じような変化が起きるとは 誰も想像しませんでした。
そもそも、かつらを自分で着脱する、というのはまったく異次元の話だったのです。 女性用のファッション用途のウィッグでは当たり前の話だったのですが、男性型脱毛症に用いられる薄毛対策のかつらではあり得ませんでした。 当店のようなセルフメンテナンスが、今後、さらに発展していくのか、それともカツラ業界のマイナーでニッチな市場に留まるのか、ぜひ注視してみてください。