かつらの製造工場の内幕

かつらバックナンバーVol.3

3.かつらの製造

かつらの髪はどうやってベース(レース)に植えているのでしょうか。
答えは、「手作業」です。1本から数本の髪を、編み棒みたいな毛植え専用の道具を使って レースの繊維に結びつけていくのです。

機械で植える方法もあるのですが、数本まとめて規則的に結んでいくため、 ベース上の結び目が大きく目立ち、 低級な既製品や、ベースが見えないほど髪を植える女性用の ファッションウィッグにしか使いません。 それ以外には、理容師、美容師が専門学校でカット技術を学ぶときに理容するヘッドマネキンによく使われます。 (ただし、ヘッドマネキンはレースに結ばず、合成樹脂の素材に直接埋め込みます)
理容師、美容師は一人前になるために数百回のカット練習をこなしますので、機械で製造する安価なヘッドマネキンは根強い需要があるのです。

機械植えと違い、手植えによるカツラ製造は、 延々と単調な作業が続き、気の遠くなるような作業です。
これは、従来型のかつらでも、ヘアリプレースメントと呼ばれる新しいタイプのかつらでも同じです。

カツラ工場に勤めるのは、多くは農村から出てきた若い女性です。
月給は日本円にして1万円台半ばです。
どう思いますか? 日本からすれば1/6から1/10といったところでしょうか。 これが中国の都市部では最低クラスの賃金です。 かつらに髪を植えるというのは単調作業、つまり、誰でもできる、もっと厳しく言えば 代わりはいくらでもいるという作業ゆえ、このような低賃金に甘んじています。 しかし、単調作業でも給与水準はどんどん上昇しているので、いずれ2万円の大台に乗るでしょう。 とはいえ、景気がよいのは都市部だけ。

中国は地域格差が大きく、地方での労働者の給料はわずかに数千円にしかなりません。月給ですよ。 それから見れば、カツラの植毛作業で月に1万円以上もらえるというのは魅力的なのです。

とはいえ、来る日も来る日も単調作業を繰り返す...現代版女工哀史ですね。 彼女らの働きのおかげで巨額の外貨を積み上げる中国。
今のところ、中国経済は順調に回っているかに見えます。 彼女らが年老いる頃、中国は世界に君臨する資本国になっているかもしれません。 一方で、その頃、日本はどうなっているのでしょうか。 カネにモノを言わせて中国からカツラを調達するというスタイルは数十年後にはなくなっているのかもしれません。