かつらショップの日々のできごと

2008年の日誌

2008/01/07
脱毛と脱色
よくご質問を受けることとして、かつらの髪根本の「脱色」があります。
かつらの製造過程で髪をレースに植えるとき、実際にはレースの目に結びつけています。 結んだところには結び目ができるわけですが、この結び目はループになり、 黒い髪の色のため、かつらレース表面のぶつぶつとなって見えます。 そこで、かつらに毛を植え終わったあと、結び目の髪の色を抜く加工を施すことで、ぶつぶつが見えにくくなるようにします。 この色を抜く加工が「脱色」です。

しかし、この脱色がクセモノなのです。

脱色は、実際には薬品を使って髪の染料を化学的に変化させています。 この時、かつらの髪もダメージを受け、強度が落ちます。 あまりに脱色を強くすると、髪が結び目で切れやすくなり、脱毛につながります。 かつらを使用して1ヶ月ほどでぱらぱら髪が抜け落ちてくるのです。
しかし、この加減はとても難しいのです。

かつらの製造工場では、髪の強度が落ちない範囲で、できるだけ脱色をよくしようとしています。 当店でも、昔、少しでも脱色をよくしようとして、強めの脱色処理を依頼したことがありました。 かつら工場ではその依頼に従っていたのですが、結果として脱毛が多発してしまいました。 それ以来、脱色は中程度にするように方針を変更しています。 また、お客さまから強い脱色を希望されても、お断りするようにしています。

ところで、かつらの素材である天然毛髪(人毛)は、 ヒトから採取した髪から色を抜き、その後でもう一度化学薬品で染めています。 こうすると、同じ色の髪を安定して供給できます。 この時使う染料は、色落ちしにくいものから、すぐに色が落ちるものまで 様々な耐久性のものが存在します。 色落ちしにくい染料と、色落ちしやすい染料、どちらがよい染料でしょうか。 色落ちしにくい方がいいに決まっているって? ところが、色落ちしにくい染料で染めた髪は、根本の脱色をしようとおもっても 色が落ちにくいんですよ。無理に脱色すると、先に髪がやられてしまいます。

リードヘアーのかつらではバランスをとって標準的な染料、つまりそこそこ落ちにくくて そこそこ脱色もしやすいタイプを使っています。

もし、他社のかつらで、とても脱色がよいかつらがあれば、 色落ちしやすい染料で染めた髪の可能性があります。 使用中に髪の色が落ちてこないか気をつけてみてください。 ものによっては1ヶ月ほどで色が抜けて染め直しが必要になります。 シャンプー後に、かつらをすすぐと、洗面器の水がうっすらと紫色になる場合すらあります。

そんなわけで、脱色についてはそれほど強くしていない点、ご理解頂けると幸いです。

2008/01/12
リンク元の話
ネットショップでは、ほとんどのお店で、お客さまがどこ経由でホームページにアクセスしているか解析して、事業戦略を練るのに使っています。 リードヘアーも、アクセス解析を行っています。 それを見ると、多くはYahoo!かgoogle経由でいらっしゃっていることがわかるのですが、 時々、見慣れないサイトからのアクセスが見つかります。 そんなとき、アクセス元のサイトをのぞいてみます。

なぜなら、かつらのサイトへリンクを張るなんて奇特な方はあまりいらっしゃいません。
だから、検索サイト以外からのアクセスは、とても珍しいのです。

昨日、見たことがないサイト経由のアクセスがあったので、元サイトを訪問してみました。

そしたら...高校生がやっているらしいお笑いサイトでした。 ここがお笑いのネタとして取り上げられていたのです。しょぼんです。

確かに、ふつーの高校生から見れば、自分でかつらを装着する方法が載っているサイトは、 お笑いなのかもしれません。 でもね、高校生の皆さん、悩んでいる人は、とことん悩んでいるんです。 あまりそんな取り上げ方をしないでくださいね。

キミたちだって、後、十年もすれば気持ちがわかると思いますよ〜。

そんなわけで、今日はちょっとブルーでした。

2008/01/25
芸能人
当サイトにいらっしゃる方で、もっとも多いのは、実は「小倉智昭」関連のキーワードで検索していらっしゃるケースなんです。
メルマガで小倉智昭氏のことを取り上げてから、「芸能人 かつら」などのキーワードでヒットしやすくなったため、 当サイトに誘導されるようです。 ちなみに、小倉智昭氏は、お笑い系を除けば、かつらをカミングアウトしている唯一の芸能人です。

これは、芸能人でかつらなのは誰か、ということに多くの人が興味を持っているという ことで、うーん、かつらってそんなに面白いのかなぁと考えさせられます。

おそらく、芸能人という勝ち組のイメージと、かつらという落差が人の琴線に触れるのだろうなと勝手に想像しています。 あるいは、人の秘密に触れる、という概念が、人の深層心理をくすぐるのでしょうか。

スキャンダルを羅列する週刊誌やワイドショーを見るのと同じ感覚なのかもしれません。

うーん。

2008/01/30
オールバック
先月、「オールバックのかつらはできるか」という問い合わせがありました。
はい、ごく少数ながら、オールバックのかつらも製作したことがあります。 通常と違い、髪を前から後ろへ流れるように植えます。 貼るタイプのかつらなら、こうしたこともできるのです。 とはいえ、維持に手間はかかりますから、積極的にお勧めはしていません。

前髪を下ろしていれば、かつら装着にミスがあっても問題にはなりません。 例えば、かつらのフロントにシワがよっていても、かまわないのです。 風に吹かれて、一瞬かつらのフロント生え際が見えたとしても、 動いているものに対しては、ちょっとやそっとのシワなんて見えないからです。 (ただし、仲間と一緒に寝るなど、静止した状態で頭を注視される可能性があるなら、 きちんと取り付ける必要があります。)

ところが、オールバックのかつらでは、常時、生え際を出しているのですからシワは許されません。 シワや剥がれがないように、かつらフロント部をぴったりと装着する必要があります。 これは気を遣います。

ちなみに、従来型のかつら(貼るタイプでない、かつら)でもオールバックは不可能ではありません。 でも、よく見るととても不自然です。 髪が一回前に出て、そこから上に曲がっているのです。 毛が生えている部位が見えないのですから、違和感があります。

2008/02/05
毛絡み
天然毛髪(人毛)のかつらは、自然さでは優れるのですが、寿命が短いという欠点があります。
かつらの毛の表面が荒れてくると、毛と毛が接触した時に滑らず、くっついてしまいます。 1本の毛と1本の毛の間に生じる摩擦力はたいしたことないのですが、これが何十本も合わさると とても大きな力になり、引っ張ってもとれません。
その結果、かつらの髪が団子になったり束になったりした状態から解けなくなり、櫛も通りません。 これが毛絡みと呼ばれる症状です。

2冊の本のページを、1ページごとに互い違いに重ねると、本をどんなに引っ張っても 抜けなくなりますね。これと同じことが起きるのです。

かつらの毛の表面の荒れが原因なので、解決策は、毛の表面を滑らかに保つことです。

それには、かつらのシャンプー頻度を減らす、シャンプー時にはこすらない、 コンディショナーを使用する、ブラシはゆっくり当てる、といった予防が重要です。

いったん毛絡みが起きたら、かつらを頭から外し、先のとがった櫛で少しずつ解きます。 この時、毛先から少しずつ解いていくのがポイントです。
ほどけたら、ダメージヘア用のヘアパックや、枝毛コートをお試しください。 毛の表面に膜を作り、でこぼこを埋める働きがあります。 それでも、劇的な効果があるわけではないので、早めに次のかつらを用意する必要があります。

絶対やってはいけないのは、かつらを外さずに絡みを解こうと、絡んでいる髪の根元に櫛を入れて 力任せにひっぱることです。 これをやると、毛の表面がさらに傷つき、絡みが固く締まり、ひっぱったところの毛は抜けて、 あっという間に、かつらは使用不能となってしまいます。

出先で毛絡みに気づいた時は、そのまま家に帰るまで放っておくのがよいです。 絡んだ部分が立っていない限り、それほど目立つものではありません。 かつらを外さずになんとかしようとすると、いらいらが募るし、かえって悪化させてしまうこともあります。

2008/02/08
電話
先日頂いたご要望は「かつらについて相談したい。ついては電話でお話させて欲しい」というものでした。
申し訳ありません、電話での対応はしていないと、丁重にお断りいたしました。

当店が電話対応をしていないのは、コストの問題です。

かつらショップに限らず、実店舗のあるお店では店頭要員が電話要員を兼ねるケースが多いのですが、 当店のようなネットショップでは店員が常に事務所にいるわけではないので、 こうした対応もできません。
結局、電話対応をしようとすると、電話要員を配置しないといけないのです。 派遣社員でまかなうと、諸経費を含めて1時間あたり3千円以上かかります。
1日8時間営業で25000円。
その人件費はかつら代金に含めることになるため、 現在の価格の範囲では実現は難しい、ということになります。 申し訳ありません。

とはいえ、かつらを買うのにメールだけでは、という声もあるのは事実です。 将来は、実店舗を構えた上で、電話対応を含める計画はあります。 別ブランドとして価格体系も別にする予定です。
こうすることで、現在の通販専用の価格は維持できますし、 対面や電話サポートが必要なお客さまはそちらへ誘導できます。 まだまだ先の話ですが、その節にはよろしくお願いします。

2008/02/11
営業のお話
以前、かつらの営業マンのノルマのお話をしました。

とあるかつらサロンに勤めていた方から話を聞く機会がありましたので、 かつらの営業マンについて、続きのお話を書きます。

一部のかつらサロンでは 「うちは営業マンはいません。技術者が直接対応いたします。」と 言っているそうです。
でもね、そういうのも営業って言うんですよ。 技術者が営業マンの役割を兼ねているだけで。 正しく「営業兼技術の者が対応します」と言わないと。 なぜ営業と名乗るのを嫌うのでしょうか。
以下は、そうした技術者による営業も含めた話です。

営業マンは、基本的に「かつらを売ってなんぼ」の世界です。 消耗品を売ったとか、かつらの修理を受注したとかは評価されません。 単価も利益率も全然違うからです。

すると、かつらを売るための過剰営業が起こります。 かつらを1年前に買ったばかりのお客さまに対して、もう1つ買わせようとします。 買わせる口実の切り札は「まもなく値上げします。」と 「今ならキャンペーン特別値引きで○○円」。 かつらの定価はあってないようなものですから、こうした作戦が使えるのです。

破損時の修理を考えると2個あった方がよいのは確かですが、 3個とか4個は絶対必要ありません。必要になってから買えば十分です。

値上がりするというなら、してから買ったらいいんです。 競争の厳しいこの時代、2割も3割もあがるわけじゃありません。 少々の値上がりを避けるために将来の選択肢を放棄するのはとても もったいないことです。従来型かつらは2年から3年使うのですから、 4つも作ったら10年先までかつらを契約したことになります。 10年後、どこで何をしているかなんてわかりませんよ。 例えば、転職、転勤だって10年先ともなれば十分考えられます。 引っ越し先に、そのお店の支店がなければアウトです。

キャンペーンは今だけ? きっと来年もやります。 試しにこう聞いてみてください。「去年はキャンペーンはしなかったの?」 きっとこういう答えが返ってきます。「このキャンペーンは今年だけです。」

営業マンのもう一つの仕事は、育毛コースの販売です。
育毛にもいろいろなコースがあって、薬だけ買って自宅で行うもので年20万円くらい。 サロンに定期的に通うものだと100万円を超えるものまであります。 迷っていると、定番の「今だけキャンペーン実施中につきお得です」がやってきます。

ちなみに、接客マニュアルがあったり、 社員が交互にお客さん役をやって練習したりと、営業マンは苦労しています。 (これは、かつらの営業に限ったことではないですが) 成績の悪い営業マンには、やり方をびしびしたたき込まれます。
「あなたの将来を考えて、お勧めしているのです」
「人生が変わりますよ」
「着けただけで、ぜんぜん印象が違います」
などは暗記させられる定番のせりふです。

とはいえ、営業マンも悪意があってやっているわけではなく、 給料をもらうためには仕方ないのです。それはわかってあげてください。 実際、やめる社員も少なくありません。 会社が急拡大しているわけでもないのに若い社員が多い、というのは 従業員の入れ替わりが激しいことを意味しており、そういう事情を物語っています。

2008/02/20
かつらは対面販売がよい?
当店は通販専業のかつらショップです。

しかし、対面式、つまりお客さまと店員が顔を合わせて話をしながら、かつらを販売する 方法はよくないと主張しているわけではありません。

それぞれ一長一短であり、当店は、通販のメリット---同じ品質なら価格が圧倒的に安い---ことを重要視する お客さまに適します。
一方で、サポートに限界があり、また、初回の敷居が高いというデメリットもありますから、 こうした点を重視されるお客さまは、対面式の従来型かつらサロンを選んだ方が ご満足頂けます。

お客さまにはさまざまなニーズがありますから、ニーズに合ったお店が社会のどこかに存在していることが 大切なのです。
当店の提供するものがニーズに合っていれば当店にいらっしゃいますし、 対面式がお望みならそうしたかつらサロンを選ぶでしょう。

なぜこんな当たり前のことを書いているかというと、ホームページで「かつらは通販じゃダメだ」的なことを 書いているかつらサロンがあるからです。

そんなことをおっしゃらずに、当店のような通販というスタイルを直視してください。 顧客満足度、リピート率は高いのですよ。
とはいえ、一部のかつらサロンで行っている強引な営業を除けば、店舗型のかつらサロンは必要な存在だと私は思っています。 通販型かつらショップと、店舗型かつらサロン、それぞれ棲み分けていけばいいじゃないですか。ねっ。

お客さまにおかれましては、まずはお試しになってみてくださいな。
つまり、店舗型のかつらサロンを利用しつつ、当店のかつらを1つ、試してみてください。 ピン留め型のかつらなら併用可能です。その上で、どちらがご自分のニーズに合っているか、 時間をかけて決めていけばよいと思います。 また、どちらかに決めず、併用していくのもよい方法かと思います。

お客さまは自由です。
特定のサロンに縛られるよりは、必要に応じて、必要なかつらサロンを必要なだけ ご利用頂くのが、もっともお得な方法です。 なにしろ、かつらは長いです。何十年ものおつきあいになるかもしれません。 いろいろな利用スタイルを、十分吟味してください。

最後に、店舗型かつらサロンの方がよかったケースを1つ書いて、この 話を終えようと思います。

もう半年ほど前になりますでしょうか。 ご質問メールのコーナーから、あるご質問が届きました。 それに回答すると、翌日には、また新たなご質問が届きました。 翌日には、また。 回答しても回答しても不安があるのでしょう、すぐに次の質問を送ってこられました。 ご質問は26回に及びました。 結局、このお客さまには、かつらはご購入頂けませんでした。 おそらく、実店舗型のかつらサロンへ行ったのだと想像します。 私にとって、これは大きな反省となっています。 メールのやりとりだけでは不安が解消されなかったということで、 実店舗を持たないネットショップの限界を見た思いでした。

2008/02/24
女性用かつら
当店では、現在、女性用かつらは全頭のみとし、部分かつらは取り扱っていません。

女性用の部分かつらを作ることは技術的には難しくありません。
男性用かつらと女性用かつらの違いは、女性用の場合はベース(土台)に レースを使わず、目の粗いネットを使うことです。

女性の脱毛は、男性型脱毛と違い、頭頂部や前頭部の髪がすっかりなくなってしまうという ことはあまりありません。
大抵の場合は、ちょっとボリューム感がないとか、分け目で地肌が目立つとか、その程度の脱毛にとどまります。 また、かつらを常用するケースは少数派で、外出時のおしゃれ用として短時間だけの装着が多くなります。 すると、剃ることが前提のレースベースのかつらは、こうした使い方にマッチしないのです。 ピンで留める、従来型のネットベースのかつらが主流になります。

ネットベースのかつらも、当店で作ることは可能です。
しかし、女性用かつらの難しさは、違うところにあります。

女性の場合、髪型に強い思い入れがあることが多く、通信販売でその思いをくみ取るのは難しいのです。
女性用の場合は、対面で細かなサポートが必要であると考えています。

現在の当店のスタイルでは、こうした女性用かつらのニーズに応えることが難しく、女性用部分かつらの販売を断念しています。

2008/02/26
貼るかつらの是非
先日、ある準大手のかつらサロンのホームページを見ていました。 その会社は編み込み式かつらを主力商品としています。

貼るかつらを否定するコーナーがわざわざ設けてありました。

攻撃対象となっている貼るかつらの商品名は書いてありませんが、 「宣伝で有名な..」とあるので、おそらくアートネイチャー社のヘアフォーライフをターゲットにしているようです。 現在、貼るかつらを大々的に宣伝しているのは、ヘアフォーライフだけですから。
これ以外の会社、例えばアデランス社やプロピア社も宣伝しているらしいのですが、 何しろCMの絶対量が違います。そんなわけで、大手で貼るかつら=アートネイチャー社という図式になっています。

個人的には、その会社は、ヘアフォーライフを攻撃するのではなく、自社でも貼るタイプのかつらを併売すればいいのに、と思うのですが、 そうはいかない事情があるようです。
この準大手のかつら会社は独自の編み込み式を長らくPRしてきました。 編み込み式を強みとしている以上、それ以外の方法へ移行するのは戦略上不利だと 判断しているのでしょう。 それはそれで一つの経営判断ですが、なんかもったいないなあと思います。 編み込み式かつらって、そこまでこだわるほど優れていますか?

当店では次のように考えています。
どこの会社の製品がよいかはおいておいて、従来型かつらと、貼るかつらの比較です。

ピン留め式の従来のかつらと、貼るタイプのかつらは狙っているところが違います。 メンテナンスの気軽さ、いつでも外せるという簡単さを重視するなら、ピン留め式が有利です。 一方で、自然さを求めるなら、貼るかつらです。 当店では貼るかつらが主力製品ですが、しかしピン留め式が悪いとは思っていません。 お客さまのニーズに応えるため両者は共存すべきだし、実際、多くのかつらショップでは両タイプを併売しています。

しかし、ピン留めならわかるのですが、編み込み式や、接着剤で自毛に糸をくっつけて固定する方式のかつらが必要かはとても疑問です。 なぜなら、デメリットが多い割に、メリットが少ないから。 こうしたタイプのかつらはとても中途半端で、ピン留めかつらと貼るかつらのそれぞれの欠点を併せ持っています。 ピン留め式の長所である、いつでも外せる気軽さ、メンテナンスの容易さが失われています。 かといって、自然さでは貼るかつらに到底かなわない。

そもそも、編み込み式などの方式は、ピン留めよりずれにくいカツラが欲しい、というニーズから来ています。ずれないようにするには、がっしり自毛に留めよう、という発想です。
ところが、ずれないカツラとして貼るかつらが広く販売されている今日、存在意義はすでに失われています。

こうした、「売り」がない中途半端な商品は、今後、市場での戦い方が難しくなっていくのではないかと思います。

2008/02/24
全頭かつら
何らかの病気や事故、あるいは生まれつきの性質として、頭部の髪がない方が使われるのが 医療用かつらです。 医療用かつらといっても、特殊なもの---例えば頭部の手術部位に触れないように作ってあるもの--- は少数で、ほとんどの場合は単にオーダーメードの全頭かつらの事を指しています。

全頭かつらは難しいです。 とてもバリエーションがあります。 もともと当店では扱っていなかったのですが、ある時、ある病気の方たちで構成している会からメールがあって、ご協力させて頂くことになりました。

一部の病気では、かつらは一生のおつきあいになります。 そうでなくても治療のために出費がかさむのに、その上、かつら代まで負担するとなると、 家計に与える影響は並々ならぬものがあります。

そうしたお話を聞いて、安価な提供をしようと、全頭かつらの提供をスタートしました。 2006年のことです。

しかし、全頭かつらのサポートはとても難しく、サポート抜きでの提供となります。 ご病気などの事情であれば長期リピーターのはずなので知識をお持ちであり、 今お使いの製品を複製するのでサポートは不要であるという判断です。

2008/02/27
納期
まず、最初に謝罪しなくてはなりません。
申し訳ございません。
当店は、納期は遅いです。 大変申し訳ございません。

現在、標準的な部分かつらの場合、納期に5〜9週を頂いています。
「もっと早くしてほしい」というお叱りを時々うけます。 まったくその通りです。それはよく理解しています。

ご注文を受けて数日後には、ご注文書とテンプレートは飛行機に載ります。 そのあと、中国の工場で製作します。 完成したかつらが通関を済ませて事務所に届けば、その12時間後には発送しています。
日本国内での滞留時間はほとんどないのです。

時間のほとんどは中国のかつら工場での待ち時間です。

中国に渡って多数のかつら工場を訪問してきました。
長年、かつら工場を探しまわった末、わかったことが一つあります。

「納期と、かつらの品質は両立できない」

残念ながら、これが真実です。
結局、安くて品質のよいところには注文が集まるのです。 その結果、長い納期でバランスします。

短い納期の工場も確かにあるのですが、やっぱりそういう品質です。

どうしたものか、いろいろ考えました。
2つのかつら工場を契約しておいて、お客さまに納期優先か、品質優先か指示して頂くことも考えたのですが、それはそれでお客さまとしてはよい思いはしません。 結局、品質優先にすることにしました。

ところで、悩ましいのは、納期は予想がつかない点です。

後で頼んだかつらの方が、先に完成することはよくあります。
これがなければ、お客さまのお問い合わせに「あと何人ですから何日後です」とお答えできるのですが...

また、早くできる時と、全体に遅れる時があります。
もちろん、旧正月など長期休日のときは遅れるのですが、それ以外の要因でも納期が伸びたり縮んだりするのです。 理由を尋ねると、かつらの受注量が変動するかららしいのですが、毎年同じ月に遅れるわけではなく、 予想がつかないので困りものです。

2008/03/01
陰毛のかつら
ある日、こんなご質問がありました。

「陰毛かつらはできますか?」

え、陰毛...!? 陰毛って、あそこの毛??
え、え!?

たぶん、ウェーブの強い髪で作った縁なしのかつらでいいと思うのですが、 毛の密度はどれくらいなのか、ウェーブはどのくらいなのか、 形はどうしたらいいのか見当がつきません。

ご質問者は匿名ですので、男性用か女性用かもわかりません。

確かに、そういう用途のかつらが世の中には存在していることは知っていましたが、 いざ、お問い合わせが来ると、経験がないだけに困ってしまいます。

テンプレートを作れるのかなぁ。それとも逆三角形にして縦と横の寸法を指定するのかなぁ。
あそこの毛だから、チャイニーズよりインディアンヘアーの方が近そうだなぁ。

結局、ご注文頂けずにほっとしましたが、もし本当にご注文が来ていたらどうしたでしょう。

2008/03/02
シャワー
今でもやっているのかどうかわかりませんが、その昔、あるかつらサロンでは かつらを着けたままシャワーを浴びることができる、と宣伝していました。
頭からシャワーを浴びているイメージ写真付きです。

従来型のかつらですよ。人前でシャワーを浴びれるわけありません。

従来型のかつらでシャワーを浴びて、頭に触れば、当然動きます。 まさか頭に触れずにシャワーを浴びろというわけではないでしょう。

おそらく、「シャワーを浴びても外れない」というつもりなのでしょう。
意図的にミスリーディングを誘っています。
「シャワーを浴びても外れない。でも動くからバレますよ。」 というのが正しい表現です。

自毛に接着剤で固定するタイプのかつらでは、1ヶ月後、自毛は1センチ伸びています。 自毛が1センチ伸びるということは、右に1センチ動かせます。左にも。 つまり左右に2センチ、ゆるゆるになるのです。
これでシャワーを浴びた日には、どうなるか。誤解を招くような宣伝はどうかと思います。

ところで、アデランス社では、崖から海に飛び込むテレビCM が有名でした。これもちょっとやりすぎ...ですよね!?

2008/03/03
かつらの形
男性用部分かつらでは多くの場合、生え際からつむじまでを隠す楕円形になります。 当店でも、ほとんどはこの形状です。

しかし、中には奇抜な形状のテンプレートも頂きます。

幅2cm、長さ15cmのかつらのご注文を頂いたことがあります。 モヒカンのようなイメージです。
分け目に使うかつらではないかと想像しています。 (当店からは、製作に必要なこと以外を聞くことはありませんから、 どのように使うかはわからないのです)

アルファベットのZの形をしたかつらのご注文もありました。 おそらく、自毛の薄い部分だけをたどったのだと思います。 装着が難しくなるので、本当はあまり複雑な形状はお勧めではないです。

左右のM字のそり込み部分をカバーするかつらは、時々ご注文を頂くので それほど珍しいわけではありません。 この場合、右と左に分かれます。 もっとも、こうした用途では縁なしのカツラを大きく作って、 切り出した方が安くあがります。

大きさから見ると、明らかにつむじをカバーするはずなのですが「つむじなし」で ご注文を頂いたことがあります。念のため確認しましたが、つむじなしのカツラでよいということで 髪が一方向に流れるように製作いたしました。これは、ご意図はわかりません。

このように、特殊な形状のかつらも時々頂きます。

ほんとうにかつらは千差万別で、オーダーメードかつらの意義がわかるというものです。

2008/03/04
抽象的なご注文
かつらショップを一番泣かせるのは、抽象的なご注文です。
特に毛量を抽象的に言われますと、とても困ります。

例えば「35歳にふさわしい毛量にしてください」とか 「自然に分けられる毛量にしてください」といったものです。

確かに、毛量を何%と言われてもわからない、というのはごもっともです。 しかし、抽象的なご注文では、かつら完成後にトラブルになる可能性が大です。
「これは35歳の髪量ではない」
「これでは自然に分けられない」
となりますと、なんともなりません。

35歳にふさわしい毛量がいくつかは、人によって全然違います。 それでも、平均的にはこれくらいです、という数値は提示いたします。 30歳以上なら、60-80%が平均です。
ちなみに、以前はこれを「推奨値」と言っていたのですが、 「推奨値で作ったが、イメージと違う。どこが推奨なんだ!」 というお叱りを受け、「平均値」という表現に変えました。
確かに、推奨値という表現は不適切でした。ご指摘はごもっともで申し訳なかったです。

2008/03/05
配達方法
当店からのかつらは、厚紙の封筒の中に、ビニール袋入りのかつらが入って届きます。 納品書や取扱説明書など、紙の資料は何も入っていません。

一時は、説明書と納品書を同封していたのですが、ある時、お叱りを受けました。 こんな紙があると、いちいち燃やさないといけない(シュレッダーを持っていないため)。 そんな面倒をかけさせるな、というご指摘です。

たしかにごもっともで、それ以来、紙類は何も入れずに発送するようにいたしました。 ただし、発送時のメールでご案内しておりますように、納品書や領収書は、ご希望が あれば別便にて送ります。 これまで、何人かの方が希望され、発行しています。

領収書が欲しいと言われるということは、経費処理を考えていらっしゃると思います。 この場合、かつら代が経費で落とせるか、という問題があります。
税理士が言うには、次のとおりです。

かつらは、外観を売りにする職種なら経費として認められます。
例えば、ホストさん、モデルさんなどがそうです。 営業マンとかセールスマンではだめですよ。外観が業務上必要とは認めてもらえないからです。

2008/03/06
SPAMメール
以前、こんなことがありました。

メールで、とあるクレームが届きました。 申し訳ないことに当方に非があり、お詫びと、かつらを返送するようにお願いするメールを返信しました。

ところが、数日経って、なぜ返事をしないんだ、というお叱りのメールが届きました。 前回のメールが届いていないのです。

実は、リードヘアーのメールが届かないことは時々あるのです。
お客さまの側にある、迷惑メール防止システム(SPAMフィルター)のせいです。 迷惑メールが大量に発生している近年では、迷惑メールを遮断する仕組みを使うことが よくあります。このシステム、迷惑メールは100%確実に遮断し、それ以外のメールは100%確実に届くかと 言えば、そんなことはありません。
迷惑メールを完全に遮断しようと強力なフィルターを入れると、 今度は間違って迷惑メールでないものまで遮断するようになってしまいます。

リードヘアーからのメールは、金額が記入されていたり、リンクが記入されていることから 時々、宣伝メールと間違われ、遮断されてしまうことがあるのです。

そこで、その対策として、複数のメールアドレスを用意して、同じメールをいくつかのアドレスから 発信するようにしています。アドレスで遮断しているなら、これで届くはずです。

ところが、そのお客さまには、これでも届きませんでした。
次のお叱りのメールには「これで返事が来なかったら、対応の悪さをインターネット掲示板に書く」と ありました。
そんなぁ。
別のアドレスを取得して、そこからメールを送りましたが、それでも届いていないようでした。

どうしようもなくて、結局、最後の手段として、手紙を送りました。

本当は、かつらという製品の性質上、手紙や電話は御法度なのです。 約款にもそう書いてあり、それで安心してご注文頂いているわけですから、 手紙は本当は送ってはいけないのです。
大変申し訳ございませんでした。
お客さまにはわかって頂けました。

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